2026年10月20日
「以前より尿の勢いが弱くなった」「トイレに行っても、なかなか尿が出始めない」「尿を出し終わるまで時間がかかる」
このような症状で困っていませんか?
尿が出にくくなる症状は、男性だけでなく女性にも起こります。
男性では前立腺肥大症がよく知られていますが、それ以外にも尿道の病気や膀胱の働きの低下など、さまざまな原因が考えられます。
今回は、尿が出にくくなる原因、検査方法、治療について解説します。
尿が出にくいとはどのような症状ですか?
尿が出にくい状態は、医学的には「排尿症状」の一つとして扱われます。
代表的な症状には、次のようなものがあります。
・尿勢低下: 尿の勢いが弱い
・排尿開始遅延: 尿が出始めるまで時間がかかる
・腹圧排尿: お腹に力を入れないと尿が出にくい
・尿線途絶: 排尿の途中で尿が途切れる
・排尿時間延長: 尿を出し終わるまで時間がかかる
また、排尿後に尿が残っているように感じる「残尿感」を伴うこともあります。
これらの症状は一つだけ現れることもあれば、複数が重なって現れることもあります。
尿が出にくくなる原因は何ですか?
尿が出にくくなる原因は、大きく分けて2つの仕組みで考えることができます。
1.尿の通り道が狭くなっている
膀胱から尿道にかけての尿の通り道が狭くなると、尿が出にくくなります。
このような状態を「下部尿路閉塞」といいます。
男性では前立腺肥大症が代表的な原因ですが、尿道狭窄などでも同じような症状が起こります。
2.膀胱の収縮する力が弱くなっている
尿を出すときには、膀胱の筋肉が収縮して尿を押し出します。
この収縮する力が弱くなると、尿の通り道がそれほど狭くなくても、尿が出にくくなることがあります。
このような状態には「排尿筋低活動」や「低活動膀胱」が関係します。
加齢や神経の病気、糖尿病などが関係する場合もあります。
尿が出にくいという症状だけでは、尿の通り道が狭いのか、膀胱の収縮する力が弱いのかを判断することはできません。
男性で尿が出にくい場合、どのような病気が考えられますか?
前立腺肥大症
中高年男性で代表的な原因となるのが前立腺肥大症です。
前立腺が大きくなることなどによって尿道の抵抗が増え、尿の勢いが弱くなったり、排尿に時間がかかったりすることがあります。
ただし、前立腺が大きいからといって必ず排尿障害が起こるわけではありません。
尿道狭窄
尿道狭窄は、尿道の一部が狭くなって尿が通りにくくなる病気です。
尿の勢いが弱い、排尿に時間がかかるなど、前立腺肥大症と似た症状が現れることがあります。
低活動膀胱
膀胱の収縮する力が十分でない場合にも、尿が出にくくなります。
この場合、前立腺肥大症と同じような症状がみられるため、必要な検査を行って原因を評価することが重要です。
女性でも尿が出にくくなることがありますか?
女性にも排尿障害は起こります。
女性では、男性のような前立腺肥大症はありませんが、膀胱の収縮する力の低下や尿の通り道の問題などによって、尿が出にくくなることがあります。
また、骨盤臓器脱などが排尿に影響する場合もあります。
女性の排尿障害でも、尿の勢い、排尿にかかる時間、残尿の有無などを確認し、原因を調べることが大切です。
尿が出にくい場合にはどのような検査を行いますか?
排尿障害の診療では、症状を詳しく確認したうえで、必要な検査を行います。
尿検査
尿路感染症や血尿などがないかを確認します。
超音波検査・残尿測定
超音波検査では、膀胱や前立腺などの状態を確認します。
また、排尿後に膀胱内に残っている尿を測定することを「残尿測定」といいます。
残尿が多い場合には、尿を十分に排出できていない可能性があります。
尿流測定
尿流測定は、尿の勢いや排尿の状態を客観的に評価する検査です。
専用の機器に向かって排尿し、尿の流れる速さや排尿パターンなどを調べます。
ただし、尿流測定だけでは、尿の通り道が狭いのか、膀胱の収縮する力が弱いのかを確実に区別することはできません。
必要に応じて、さらに詳しい検査を検討することがあります。
尿が出にくい場合にはどのような治療を行いますか?
治療方法は、尿が出にくくなっている原因によって異なります。
前立腺肥大症が原因の場合
症状や前立腺の状態に応じて、生活指導や薬物療法などを行います。
薬物療法では、尿道の抵抗を減らす薬や、前立腺の大きさに働きかける薬などを使用します。
薬物療法で十分な改善が得られない場合や、尿閉などの合併症がある場合には、手術を検討することもあります。
尿道狭窄が原因の場合
尿道の狭くなっている部位や程度などを評価し、必要に応じて専門的な治療を検討します。
膀胱の収縮する力が弱い場合
膀胱の収縮する力が弱い場合には、残尿の程度や排尿の状態に応じて対応を考えます。
尿を十分に出せない状態では、必要に応じてカテーテルを用いて尿を排出する「導尿」を行うこともあります。
このように、同じ「尿が出にくい」という症状でも、原因によって適切な治療は異なります。
尿がまったく出なくなった場合はどうすればよいですか?
尿が出にくい状態が進行すると、膀胱に尿がたまっているにもかかわらず、排尿できなくなることがあります。
この状態を「尿閉」といいます。
尿閉では、下腹部の張りや痛みを伴うことがあります。
尿がまったく出なくなった場合には、放置せず、速やかに医療機関を受診してください。
尿閉の状態によっては、カテーテルを使用して膀胱内の尿を排出する処置が必要になります。
また、尿が少しずつ出ていても、膀胱内に多量の尿が残っている場合があります。
尿の勢いが弱くなったり、排尿に時間がかかるようになったりした場合には、一度泌尿器科で確認することをおすすめします。
当院での排尿障害診療
当院では、尿の勢いが弱い、尿が出にくい、残尿感があるなどの症状について詳しく確認します。
必要に応じて尿検査や超音波検査、残尿測定などを行い、排尿障害の原因を評価します。
排尿障害は男性だけでなく女性にも起こり、前立腺肥大症、尿道の病気、膀胱の収縮する力の低下など、さまざまな原因が考えられます。
そのため、症状だけで病気を決めつけず、検査結果や日常生活への影響などを総合して治療方針を検討します。
より専門的な検査や手術が必要な場合には、適切な医療機関と連携して診療を進めます。
尿の出にくさでお困りの方は、お気軽にご相談ください。
まとめ
尿の勢いが弱い、尿が出にくい、排尿に時間がかかるといった症状は、男性だけでなく女性にも起こります。
主な原因として、尿の通り道が狭くなっている場合と、膀胱の収縮する力が弱くなっている場合があります。
原因によって治療方法が異なるため、症状だけで判断せず、必要な検査を行うことが大切です。
尿が出にくい状態が続く場合には、年齢のせいと決めつけず、一度泌尿器科へご相談ください。
参考文献
・日本泌尿器科学会『男性下部尿路症状・前立腺肥大症診療ガイドライン』
・日本排尿機能学会『女性下部尿路症状診療ガイドライン[第2版]』
