2026年10月20日
「夜中に何度もトイレに起きる」「トイレに行ったあと、なかなか眠れない」「夜間の排尿が気になって十分に眠れない」
このような症状で困っていませんか?
夜間に排尿のために起きることを夜間頻尿といいます。
夜間頻尿は年齢とともに増える傾向がありますが、必ずしも加齢だけが原因ではありません。前立腺肥大症や過活動膀胱だけでなく、夜間の尿量の増加や睡眠の問題など、さまざまな原因が関係しています。
今回は、夜間頻尿の原因、検査方法、治療について解説します。
夜間頻尿とはどのような症状ですか?
夜間頻尿とは、睡眠中に排尿のために1回以上起きることをいいます。
ただし、夜間に1回トイレへ行くからといって、必ず治療が必要になるわけではありません。
特に夜間2回以上の排尿は睡眠の質や日常生活に影響しやすいとされていますが、困り方には個人差があります。
例えば、夜間に1回しか起きなくても、そのあと眠れなくなってしまう方もいれば、2回起きても特に困っていない方もいます。
そのため、夜間頻尿の診療では、排尿回数だけでなく、睡眠や日常生活にどの程度影響しているかを確認することが大切です。
夜間頻尿の原因にはどのようなものがありますか?
夜間頻尿には、大きく分けて3つの原因があります。
1.夜間多尿(夜間につくられる尿が多い)
夜間多尿とは、夜間に腎臓でつくられる尿の量が多くなっている状態です。
夜間頻尿というと、膀胱や前立腺の問題を思い浮かべる方が多いかもしれません。しかし、膀胱の働きに大きな問題がなくても、夜間につくられる尿が多ければトイレに起きる回数は増えます。
夜間多尿には、飲水習慣、塩分摂取、高血圧、心臓や腎臓の病気、睡眠時無呼吸症候群などが関係する場合があります。
2.膀胱蓄尿障害(膀胱に尿をためにくい)
膀胱に十分な量の尿をためられないことも、夜間頻尿の原因になります。
代表的な病気として、過活動膀胱や前立腺肥大症などがあります。
過活動膀胱では、急に強い尿意が起こり、昼間だけでなく夜間も頻繁にトイレへ行くことがあります。
また、前立腺肥大症によって排尿しにくくなったり、膀胱に尿が残ったりすることも、夜間頻尿に関係します。
3.睡眠障害(眠りが浅い・途中で目が覚める)
夜間頻尿には、睡眠の問題が関係することもあります。
例えば、眠りが浅く何度も目が覚め、その際に尿意を感じてトイレへ行く場合があります。
この場合、尿がたまったために目が覚めているのではなく、別の理由で目が覚めたあとに排尿している可能性があります。
不眠症や睡眠時無呼吸症候群などが関係していることもあり、睡眠の状態を確認することが重要です。
夜間頻尿の原因はどのように調べますか?
夜間頻尿の診療では、症状の確認に加えて、尿検査や超音波検査などを必要に応じて行います。
特に重要なのが排尿日誌です。
排尿日誌とは、排尿した時刻や尿量などを記録するものです。
例えば、
・朝から夜までに何回排尿したか
・夜間に何回排尿したか
・1回にどのくらいの尿量が出ているか
・1日全体でどのくらい尿が出ているか
などを確認します。
排尿日誌をつけることで、夜間につくられる尿が多いのか、膀胱に尿をためにくいのかなど、夜間頻尿の原因を考えるうえで重要な情報が得られます。
夜間頻尿は、原因によって治療方法が異なるため、まず原因を見極めることが大切です。
夜間頻尿は生活習慣で改善できますか?
夜間頻尿の原因によっては、生活習慣を見直すことで症状の改善が期待できます。
特に夜間多尿がある場合には、次のような点を確認します。
・夕方以降に水分を多くとりすぎていないか
・塩分をとりすぎていないか
・夕方以降にアルコールやカフェインを多く摂取していないか
・適度な運動ができているか
・睡眠習慣に問題がないか
ただし、夜間頻尿があるからといって、無理に水分を減らせばよいわけではありません。
必要な水分量は、体格、活動量、持病、服用している薬などによって異なります。
特に心臓や腎臓の病気がある方、水分摂取について医師から指示されている方は、自己判断で大きく変更せず、かかりつけの先生に相談してください。
夜間頻尿にはどのような治療がありますか?
夜間頻尿の治療では、原因に応じた方法を選択します。
夜間多尿に対する治療
夜間につくられる尿が多い場合には、飲水習慣や塩分摂取などを確認し、生活指導を行います。
生活指導を行っても改善しない男性の夜間多尿に対しては、デスモプレシンという薬を検討する場合があります。
ただし、デスモプレシンには低ナトリウム血症などの副作用があり、使用できない場合もあります。そのため、患者さんの状態を確認し、必要な検査を行いながら慎重に使用します。
過活動膀胱・前立腺肥大症に対する治療
膀胱に尿をためにくいことが原因の場合には、過活動膀胱や前立腺肥大症に対する治療を行います。
行動療法や薬物療法などを組み合わせ、症状の改善を目指します。
ただし、夜間多尿や睡眠障害なども関係している場合には、膀胱や前立腺の薬だけでは十分に改善しないこともあります。
睡眠障害や内科的な病気に対する治療
睡眠障害が原因と考えられる場合には、睡眠習慣の見直しや、必要に応じた専門的な治療を検討します。
また、高血圧、心不全、慢性腎臓病、睡眠時無呼吸症候群などが関係している場合には、それぞれの病気に対する評価や治療が重要です。
夜間頻尿は年齢のせいだから仕方がないのでしょうか?
夜間頻尿は加齢とともに増える傾向があります。
しかし、夜間頻尿の原因は一つではなく、適切な検査によって原因を調べ、治療につなげられる場合があります。
また、夜間に何度も起きることで睡眠が妨げられ、日中の生活に影響することもあります。
高齢の方では、夜間にトイレへ移動する際の転倒にも注意が必要です。
夜間頻尿で睡眠や日常生活に支障を感じている場合には、年齢のせいと決めつけず、一度泌尿器科で相談することをおすすめします。
当院での夜間頻尿診療
当院では、夜間の排尿回数だけでなく、昼間の排尿症状、飲水習慣、睡眠の状態、持病や服用している薬などについても確認します。
必要に応じて尿検査や超音波検査、残尿測定などを行い、排尿日誌も活用しながら原因を評価します。
夜間頻尿は、前立腺肥大症や過活動膀胱だけでなく、夜間多尿や睡眠障害など複数の原因が関係している場合があります。
そのため、患者さんがどのような症状で困っているのかを確認し、原因に応じた生活指導や薬物療法を検討します。
必要に応じて、内科などの医療機関と連携して診療を進めます。
夜間のトイレでお困りの方は、お気軽にご相談ください。
まとめ
夜間頻尿は、夜間に排尿のために起きる症状で、睡眠や日常生活に影響することがあります。
原因には、夜間多尿、膀胱蓄尿障害、睡眠障害などがあり、複数の原因が重なっている場合もあります。
そのため、夜間頻尿の治療では、排尿回数だけでなく、排尿日誌などを用いて原因を調べることが重要です。
生活習慣の見直しや原因に応じた治療によって、症状の改善が期待できる場合があります。
夜中に何度もトイレに起きて困っている方は、一度泌尿器科へご相談ください。
参考文献
日本排尿機能学会・日本泌尿器科学会編『夜間頻尿診療ガイドライン[第2版]』2020年(2024年アップデートを含む)
