2026年8月21日
「急に強い尿意が起こって、トイレまで我慢するのが難しい」「トイレが近くて外出するのが不安」といった症状は、**過活動膀胱(OAB:Overactive Bladder)**によるものかもしれません。
過活動膀胱は、日常生活や睡眠、外出などにも影響することがある病気です。過活動膀胱とはどのような病気なのか、どのように診断し、どのような治療を行うのかを、説明します。
過活動膀胱(OAB)とはどのような病気ですか?
過活動膀胱で中心となる症状は、**「尿意切迫感」**です。
尿意切迫感とは、普通の尿意とは異なり、突然起こる「急に尿がしたくなり、我慢することが難しい」という感覚です。
過活動膀胱では、この尿意切迫感に加えて、通常は頻尿や夜間頻尿を伴います。また、強い尿意とともに尿が漏れてしまう「切迫性尿失禁」を伴う場合もあります。
つまり、単に「トイレが近い」というだけではなく、突然起こる我慢しにくい尿意があることが過活動膀胱の重要な特徴です。
どのような症状がありますか?
過活動膀胱では、主に次のような症状がみられます。
・急に強い尿意を感じ、我慢することが難しい
・日中に何度もトイレへ行く
・夜間にトイレのために起きる
・尿意を我慢できず、トイレに着く前に尿が漏れる
症状の程度や困っていることは患者さんによって異なります。
トイレの場所が気になって外出を控えたり、長時間の移動を避けたりするなど、排尿症状が生活の行動範囲に影響することもあります。
そのため治療では、排尿回数だけを見るのではなく、患者さん自身が何に困っていて、治療によって何を改善したいのかを確認することも大切です。
過活動膀胱はどのように診断しますか?
過活動膀胱の診療では、まず症状について詳しく確認します。
尿意切迫感の有無、排尿回数、夜間の排尿、尿漏れの有無などを確認し、必要に応じて尿検査などを行います。
また、排尿の状態を詳しく把握するために排尿日誌が役立ちます。
排尿日誌には、排尿した時間や尿量などを記録します。実際の排尿パターンを確認することで、症状をより客観的に評価することができます。
一方、頻尿や尿意切迫感があっても、すべてが過活動膀胱とは限りません。そのため、症状だけで自己判断せず、他の病気が隠れていないかを確認することが重要です。
過活動膀胱はどのように治療しますか?
過活動膀胱の治療では、患者さんの症状や生活への影響、治療によって改善したいことなどを確認しながら治療方針を決めていきます。
治療には大きく分けて、行動療法、薬物療法があります。
行動療法
過活動膀胱では、行動療法が治療の重要な選択肢になります。
生活指導や膀胱訓練などを行い、排尿習慣を整えながら症状の改善を目指します。
薬を使用せずに取り組むことができるため、過活動膀胱治療の基本となる方法です。
薬物療法
行動療法だけでは十分な改善が得られない場合などには、薬物療法を行います。
過活動膀胱の治療薬には、主に抗コリン薬とβ3アドレナリン受容体作動薬があります。
どの薬を選択するかは、症状だけでなく年齢や全身状態、他に使用している薬なども考慮して判断します。
特に高齢の方では、薬の副作用などにも注意しながら治療を行う必要があります。
過活動膀胱は「年齢のせい」と考えてよいのでしょうか?
頻尿や尿意切迫感を「年齢だから仕方がない」と考えて、そのままにしている方も少なくありません。
しかし、過活動膀胱には行動療法や薬物療法などの治療方法があります。
また、頻尿や尿意切迫感があっても、その原因が必ず過活動膀胱とは限りません。
排尿症状によって日常生活に困っている場合には、年齢のせいと決めつけず、一度泌尿器科で相談することをおすすめします。
当院での過活動膀胱診療
当院では、尿意切迫感や頻尿、夜間頻尿、尿漏れなどの症状を詳しく確認し、必要な検査を行ったうえで治療方針を検討します。
過活動膀胱の治療では、単に排尿回数を減らすことだけではなく、「外出中のトイレの心配を減らしたい」「尿漏れを改善したい」など、患者さんが困っていることや治療の目標を確認することも大切です。
排尿について気になる症状がある方は、お気軽にご相談ください。
まとめ
過活動膀胱は、突然起こる我慢しにくい尿意(尿意切迫感)を中心とし、頻尿や夜間頻尿、場合によっては切迫性尿失禁を伴う病気です。
治療には行動療法や薬物療法があります。
「トイレが近い」「急な尿意を我慢できない」「トイレまで間に合わない」といった症状で生活に支障を感じている場合には、一度泌尿器科へご相談ください。
参考文献
日本排尿機能学会「過活動膀胱診療ガイドライン[第3版]」2022年
